最高級ブランド米の魚沼産コシヒカリなどを卸売りする新潟県魚沼市の「諸長商店」と「魚沼商事」が、計約6億2000万円の所得を隠し、計1億8000万円余を脱税したとして、関東信越国税局が法人税法違反容疑で、両社と両社の諸橋勤社長(52)を新潟地検に告発していたことが31日、分かった。
冷夏だった2003年にコメが10年ぶりの不作となり、魚沼産コシヒカリも高騰。利益が急に膨らんだため、脱税したという。諸橋社長は「調査は受けたが、今は何も話せない」としている。
関係者によると、諸長商店はコメの仕入れを水増しして経費を過大に計上するなどし、05年5月期までの3年間で約4億8000万円の所得を圧縮。約1億4500万円を脱税した。
水増しは、取引先に納入伝票を偽造させたり、魚沼商事を間に挟んだりして行い、水増し分も含めた代金を一度支払った後、謝礼を除いた金額を普段使わない口座に戻させていたという。
魚沼商事も、仕入れの水増しなどで05年8月期までの3年間に約1億4000万円の所得を隠し、約4200万円を脱税したという。新潟農政事務所によると、03年米の県内の作況指数(平年=100)は96で、不作だった。コメ価格センター(東京都中央区)によると、卸業者による同年の魚沼産コシヒカリの落札価格は、60キログラム当たり平均約34700円で、平年より3割前後上昇。4万円を超える最高値を付けた月もあった。民間調査会社などによると、諸長商店は1906年創業。魚沼産コシヒカリなどのコメや穀物の卸売りを主に手掛け、都内にも営業所を置く。06年5月期の売上高は78億円。(了)諸長(もろちょう)、諸橋勤(もろはし・つとむ)
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