モトGP選手バレンティーノ・ロッシの脱税疑惑が、イタリアで話題となっている。事の発端は8日、ロッシの故郷・イタリア中部ペーザロの税務署が指摘したもの。
それによると、ロッシは2000年から2004年まで収入6000万ユーロ(約96億円)を申告せず、2500万ユーロ(約40億円)の税金を逃れたという。追徴金と合わせ、1億1200万ユーロ(約179億2000万円)をロッシに請求した。
ロッシは2000年、ロンドンにスポンサー契約の管理会社を設立しており、税務当局はロッシがこれを利用して脱税を行なっていたと指摘している。
それに対してロッシは、イタリアの主要テレビ各局に録画テープを送付。「たびたび起きるように、僕はしかるべき適切な調査が行われる前に、犠牲となり非難されてしまった。過去7年にわたってロンドンを居住地としているのは仕事の利便性のため。ここは税金逃れのための天国ではない」と反論する模様が、14日夜のテレビニュースで一斉に報道されたそのうえで「専門家を通じて、しかるべき対応をしてゆく」と述べた。
ただしペーザロの税務署は、すでに彼が所有するすべての車、ヨット、イタリアで加入している生命保険、さらには彼が通うスポーツジムまで調べを進めている模様だ。
イタリアでは、ビールや有力ネットプロバイダーなど、ロッシが出演する広告やテレビCMは多い。そうした立場だけに、一時的には単なる個人の脱税事件だけでは済まなくなる可能性はある。
しかし女優ソフィア・ローレンが80年代初頭に巨額脱税で逮捕されても人気が衰えなかったように、スターの脱税事件に比較的寛容な国民性ゆえ、ロッシ人気にも陰りは差さないだろうと思われる。
※以下、インテリマークより引用 ■5年間の未納税額内訳
この国税局が計算した所得総額に基づき、2000年からの5年間の各年度につきイタリア側がロッシに対して今回提示した滞納分の税額は、イタリアのTgcomが報じたところによると、追徴課税を抜きにすると下記の通りとなる。
・2000年度分については個人所得税が280万ユーロ(約4億5千万円)、法人税が25万6千ユーロ(約4千万円)、国税に位置づけられる付加価値税が120万ユーロ(約1億9千万円)。
・2001年度分については個人所得税が336万ユーロ(5億4千万円)、法人税が37万4千ユーロ(約6千万円)、付加価値税が145万ユーロ(約2億3千万円)。
・2002年度分については個人所得税が625万ユーロ(約10億円)、法人税が65万2千ユーロ(1億円)、付加価値税が253万ユーロ(約4億円)。
・2003年度分については個人所得税が600万ユーロ(約9億7千万円)、法人税が62万6千ユーロ(約1億円)、付加価値税が240万ユーロ(約3億9千万円)。
・2004年度分については個人所得税が1千29万ユーロ(約16億7千万円)、法人税が107万ユーロ(約1億7千万円)、付加価値税が416万ユーロ(約6億7千万円)。
■追徴課税を加え181億円をロッシに請求
これら5年間の未納税額を合計すると、総額は約4千3百万ユーロ(約69億6千万円)となる。これにイタリア国税局がロッシに対して「所得隠しと虚偽申告」の名目、すなわち脱税の罰則金として課した6千9百万ユーロ(約111億8千万円)の追徴課税を加えると、合計は1億1千200万ユーロ(約181億 4千万円)となり、国税局の訴えをそのまま認める場合、ロッシはこの膨大な金額をイタリア側に支払う事になる。
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