少ない元手で大きな利益が期待できる投資商品「外国為替証拠金取引」(FX)でもうけた所得を申告しなかったとして、東京国税局が東京都内の投資家3人を所得税法違反(脱税)の疑いで東京地検に告発していたことが分かった。05年までの3年間で、隠した所得は3人合わせて約9億7000万円、脱税額は約3億4000万円にのぼるという。FXはネット取引の普及で主婦や高齢者も含めた幅広い個人投資家の間で人気が高まっている半面、多額の利益を得ながら税務申告しないケースも目立ち、国税当局による告発が相次いでいる。
告発されたのは、足立区の不動産賃貸業の男性(70)と美容院を経営している妻(66)の夫妻と、江戸川区の保険代理業の男性(84)。
関係者によると、足立区の夫妻はFXで計約7億5000万円の所得を得たが、全く申告せずに約2億7000万円を脱税。江戸川区の男性も約2億2000万円の所得を隠し、約7000万円を脱税した。隠した所得はさらに取引につぎ込んだり、預貯金に充てたりしていたという。
国税局は、3人が本業での所得を申告しながら、FXの利益を申告していなかったため、悪質な脱税と判断したとみられる。
足立区の男性は「うかつだった。もうかった時はよかったが、こうなると後悔と半々。06年は大損もしている。40年かけてためた金がほとんどなくなり、今はお金をつくることで頭がいっぱい」と話している。
FXは、米ドルなどの外貨を売買し、外国為替相場の変動に応じて損益が出る商品。業者に預けた証拠金を元に数十倍の取引ができるため、大きな利益が期待できる半面、損失も多額になる危険性がある。今年4月には東京都世田谷区の主婦が約4億円の所得を隠し、約1億4000万円を脱税したとして在宅起訴された。
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